万年筆を選ぶうえで考えてしまうのは、いつ・どんなときに使うかということ。
キャップ式はカッコイイけど、とっさのときのメモや落ち着いて書くことのできないような状況だとちょっと不便なときがありますよね。
そんなときに活躍するのがこれ、パイロットの万年筆「キャップレス」シリーズです。
この「キャップレス」万年筆ですが、なんと1963年に世界初のキャップがない万年筆として発売されたそうです。
ロングセラーになった理由はもちろん、ノック式を採用することで素早く書くことができるということ。
しかも改良を積み重ねた気密性の高いシャッター機構を採用しているので、インクの乾燥もしにくく1〜2ヶ月放置していても問題ないくらいです。
海外メーカーにも同じようなノック式の万年筆は存在しますが、やっぱり「キャップレス」のクオリティは素晴らしいと思います。
ということでこの「キャップレス」シリーズの「デシモ」をレビューしつつ紹介していこうと思います。
キャップレスシリーズ
キャップレスにはサイズや機構によって3種類のモデルがあります。
- キャップレス
- キャップレス デシモ
- キャップレス フェルモ
これら3つですね。
それぞれのモデルを簡単に説明すると…
「キャップレス」は、最もスタンダードなノック式万年筆。やや太めなので男性向け。
「キャップレス デシモ」は、同じくノック式万年筆ですが「キャップレス」よりも細身で軽い。女性に人気。
「キャップレス フェルモ」は、回転繰り出し式という初代と同じ機構を採用。高級感があります。
こんな感じですね。
あと「キャップレス」に限りですが、軸に蒔絵の螺鈿を施した「螺鈿シリーズ」と軸にカバ材を用いた「木軸シリーズ」という軸のデザインが違うモデルがあります。
ちなみに私が持っているのは「キャップレス デシモ」です。男性でも使いやすいサイズ感ですのでご安心ください。
大きさや長さ、重さの違いは、
長さ | 最大径 | 重さ | |
---|---|---|---|
キャップレス | 140mm | Φ13.4mm | 29.7g |
デシモ | 139.4mm | Φ11.6mm | 21.0g |
フェルモ | 139.4mm | Φ12.4mm | 33.5g |
このようになっています。
個人的には「デシモ」が一番扱いやすいと感じたので選びましたが、手の大きい方にはやや細いので、「キャップレス」や」「フェルモ」の方が使い勝手は良いかもしれません。
モデルによって若干の違いはあるものの、ペン先の字幅も複数から選ぶことができます。
- EF(極細字)
- F(細字)
- M(中字)
- B(太字)
これについてはメーカーの各モデル詳細をご覧頂いた方が良いでしょう。
ちなみに私の「デシモ」はFを使っています。というのも、さっとメモを書くときにEFでは細すぎてカスれが出てしまいますし、Mにしてしまうと、落ち着いて文字を書くときに今度は太すぎる気がするからですね。試し書きをしてちょうどよかったのがFという感じです。
外観
今回は私の持っている「デシモ」を紹介していきます。
色はパールホワイト、ペン先はFです。
ご覧頂ければおわかりかと思いますが、ノックの部分が長いんですよね。
こんな感じで。
実際にノックして使うときにはもちろん短くなります。
大体1cmくらいは中に入る感じですね。
といっても、もともと邪魔になるわけではありませんがもう少し短ければ…と思うこともあります。
そしてノック式万年筆ならではのクリップ部分。
ノック式のボールペンだと、ノック部分側にクリップがあるのが普通です。
しかし万年筆では下にペン先が来るとインク漏れの危険性があるため、反対のペン先側にクリップがついています。
ですのでポケットなどに挿すときは、上側にペン先が来るわけなんですよね。
今度は書くときにこのクリップ部分が手元に来るわけですが、意外と邪魔にならないんです。
クリップ部分がうまくガイドになってくれるので、書き方鉛筆というかちょうどいい具合に指を置くことができるんです。
しかも嬉しいのは、このクリップ部分を摘むようにすれば自然と書ける向きになるので、急いでメモする必要があるときなどにいちいち手元やペン先を確認しなくてもすぐ書ける、というメリットもあります。
一手間かけるのが面倒な方やすぐに書きたいという方の夢を叶えてくれる一本じゃないでしょうか。
手軽に書ける万年筆
「キャップレス」シリーズはしっかりとした万年筆だけど、ボールペンのように使い勝手の良い一本だと思います。
かく言う私も最初から抵抗がなかったわけではありません。インクの乾きや書き心地、クリップ部分が気になったり…と色々考えていましたが、いざ使ってみると本当に便利でいつも使うようになってしまいました。
今までキャップ式を使っていると不便なシーンもありましたが、キャップレスだとそれがほとんどありません。ボールペンと同じように使うことができるから。
だったら最初からボールペンでいいやんけと言われてしまえばそれまでの気がしますが、万年筆が好きな方にはぜひ一度手に取ってもらいたいと思います。
もちろん初心者の方や仕事で使いたい方、学生の方にだって、使い勝手は抜群ですのでオススメできる1本だと思います。
お値段は15,000円前後ですが、ネットなら安く購入することもできますので、一度はぜひぜひお試しくださいませ。